2005年 11月 12日
男が仕事を終え、事務所を出ると、ちょうど雨が降り始めたところだった。
男は面倒くさくて、置き傘をそのままに自転車に乗った。
10分ほど走ると、ちょうど踏み切りの遮断機が降り、
男は冷たい雨の中を止まらざるを得なかった。
踏み切りの周りは畑や森があり、狸が出てもおかしくない。
ここが東京であることを男はすっかり忘れていた。
あたりには雨と踏み切りの音しかしなかった。
雨はどんどんと強くなり、やむ気配はなかった。
いくら待っても電車は通らない。
もしかしたら、この先ずっとこの踏み切りは開かないかもしれない。
もしかしたら、このまま雨はやまないのかもしれない。
そして、夜も明けないだろう。
男はそんなことをふと考えた。
その時、風と雨を切って電車がやってきた。
電車の中は、温かそうな黄色の蛍光灯で照らされている。
何車両か男の前を通り過ぎたが、人の姿が見えなかった。
誰も乗っていない電車のためにこんなに待たされたのか。
男は少し腹を立てたが、最後の車両には、
折りたたみの傘をかばんから取り出した女の姿が見えた。
女を一人だけ乗せた電車は何事もなかったように通り過ぎると、
遮断機も、何事もなかったように開きはじめた。
男はたった一人の女を乗せた電車が通るために雨の中を待たされたのだ。
少し腹が立ったが、少しだけ好い事もあった。
雨が止んだのだ。
男は面倒くさくて、置き傘をそのままに自転車に乗った。
10分ほど走ると、ちょうど踏み切りの遮断機が降り、
男は冷たい雨の中を止まらざるを得なかった。
踏み切りの周りは畑や森があり、狸が出てもおかしくない。
ここが東京であることを男はすっかり忘れていた。
あたりには雨と踏み切りの音しかしなかった。
雨はどんどんと強くなり、やむ気配はなかった。
いくら待っても電車は通らない。
もしかしたら、この先ずっとこの踏み切りは開かないかもしれない。
もしかしたら、このまま雨はやまないのかもしれない。
そして、夜も明けないだろう。
男はそんなことをふと考えた。
その時、風と雨を切って電車がやってきた。
電車の中は、温かそうな黄色の蛍光灯で照らされている。
何車両か男の前を通り過ぎたが、人の姿が見えなかった。
誰も乗っていない電車のためにこんなに待たされたのか。
男は少し腹を立てたが、最後の車両には、
折りたたみの傘をかばんから取り出した女の姿が見えた。
女を一人だけ乗せた電車は何事もなかったように通り過ぎると、
遮断機も、何事もなかったように開きはじめた。
男はたった一人の女を乗せた電車が通るために雨の中を待たされたのだ。
少し腹が立ったが、少しだけ好い事もあった。
雨が止んだのだ。




